環境エピゲノミクス研究会第8回定例会報告 

11月28日夕に、学会会場である静岡市グランシップで、以下の内容で第8回定例会を開催しました。

1・「ヘテロクロマチンを指標とした低レベル化学物質のエピ変異原性評価について」 

      明治大学農学部 大鐘 潤 会員  

この研究会での共同研究のテーマとなっているので、第6回定例会に引き続き大鐘会員に解説をお願いした。研究会ではこの試験系についてすでに勉強会を開催し、実験を開始した研究機関もあります。この試験系はエピジェネティクスを誘発する可能性のある化学物資を、マウスES細胞に処理し、DAPI染色によってヘテロクロマチン領域をドット数の変化として簡便に検出することを意図したのです。すでにヒト臍帯血に含まれる低濃度のさまざまな環境化学物質によって、ドット数の変化を検出し、それらの一部についてはDNAメチル化の変化が検証されています。この試験系については、より高濃度での反応性や統計的な検出感度、さらにドットの変化のメカニズムの裏付けの必要性などが論議されました。今後の共同研究の発展が期待されます。

2・「体細胞核移植法で産まれたSNRPNおよびH19 遺伝子におけるエピジェネティクな変化」  

     就実大学薬学部 須藤鎮世 会員  

この発表はsiRNAを発現させるプラスミドを体細胞に導入し、体細胞核移によりぴプリオン遺伝子をノックダウンしたウシを世界で初めて誕生させたものでした。しかし、42個の胚を移植して、生誕したのは1頭のみで、死産1例、流産4例という結果でした。これらの結果は、メチル化DNAのリセットの不全であると考えられたので、SNRPN遺伝子のCpGアイランドにおけるメチル化の状態が予備的に調べられた。メチル化率は対照ウシで17%、生誕ウシ25%、死産ウシ42%、後期流産ウシ75%、中期流産ウシ93%であり、メチル化の程度が高いほど、影響が大きいことが示唆された。ウシという大型家畜についての発生現象とメチル化との関連性を示すデータとして貴重な発表でした。

3・意見交換会  「これからの環境エピゲノミクス研究会」について 現在やや低調であるこの研究会の今後の活動についての話し合いがもたれました。

今後、幹事および会員が連携しながら、環境エピゲノミクス研究会の活性化を目指すこととされました。 

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