環境エピゲノミクス研究会 第6回定例会

日時:2011年11月20日(日)午後5時30分〜7時30分

講演1:山下 聡(国立がん研究センター研究所・エピゲノム解析分野)

「ラット前立腺におけるテストステロンによるDNAメチル化異常誘発」

講演2:大鐘 潤(明治大学農学部・生命科学科ゲノム機能工学)

「ヘテロクマチン形成を指標とした環境・人体に残存する低レベル化学物質のエピ変異原性評価に向けて」

総合質疑:「環境エピジェネティクス研究を進める上での実験技術について」

座長:高田江里子(国立がん研究センター研究所・エピゲノム解析分野)

環境エピゲノミクス研究会(EEG)活動報告

6回定例会の開催

 EEG第6回定例会が、20111120()に学術総合センター(東京都千代田区)にて開催された。今回は、「エピジェネティクス実験技術に関するワークショップ」を主旨とし、二名のエピジェネティクス研究者を演者として招いた。参加人数は約30名であった。

 講演1では、山下聡先生(国立がん研究センター研究所・エピゲノム解析分野)が、「ラット前立腺におけるテストステロンによるDNAメチル化異常誘発」という演題で講演された。エピジェネティクス実験技術に関し、基礎的な説明から、学会やシンポジウムの通常の発表では聞くことのできないような解析技術における注意点等の説明を織り交ぜながら、テストステロンの過剰曝露で誘発されるエピジェネティク異常についてのご自身の最新の知見を紹介された。

 講演2では、大鐘潤先生(明治大学農学部・生命科学科ゲノム機能工学)が、「ヘテロクマチン形成を指標とした環境・人体に残存する低レベル化学物質のエピ変異原性評価に向けて」という演題で講演された。ヘテロクロマチン形成に着目したエピ変異原の新規検出系の開発に関する話題を中心に、今後注目されることが必至な環境中のエピ変異原検出の重要性について講演された。また、開発した検出系を用いて同定した新たなエピ変異原の候補化合物についても示された。

 いずれの講演とも、環境中でヒトが曝露する可能性のある内因性・外因性因子によるエピジェネティクス異常に関する内容であったことから、環境変異原研究・環境毒性学研究を専門とした参加者から多くの質問がなされ、活発な討論が交わされた。講演後に開催された懇親会においても、参加者らからとても有意義な会であったとの感想も多く頂き、非常に内容の濃い会となった。環境エピジェネティクス研究は、今後益々重要な分野となることから、このような研究会を続け、情報交換・意見交換を密に行なっていくことが重要である。

文責:高田 江里子

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