環境エピゲノム研究会第10回定例会報告

環境エピゲノム研究会第10回定例会は、日本環境変異原学会第42回大会の前日、 2013年11月28日(木)17:30 に岡山 就実大学で開催されました。

 参加者は14名で以下の演題で行われました。

1.「金属元素によるヒストン修飾変化とその意義について考える」 豊岡達士会員(静岡県立大学・環境科学研究所)

2. 「マウスES細胞GFP-MBD-nlsを活用したエピゲノム変動の検出」 曽根秀子会員 (国立環境研究所・環境リスク評価センター)

1.では演者より、金属の発ガンやガン悪性化などに関連した金属のヒストン修飾について、AsでのH3S10リン酸化上昇からCjun、c−fos、HSP70などのメチル化、NiでのH3/H4全体のアセチル化低下、H3S10リン酸化亢進、H3K9ジメチル化、H3K4トリメチル化の亢進、H2A./H2B全体のユビキチン化亢進、などの例が紹介され、そしてこれらの作用は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性中心にあるZnフィンガーのZnの置き換え、メタロチオネインMT1の応答反応の乱れが要因となっている可能性が指摘されました。

また、演者の研究室では、HDAC阻害剤酪酸ナトリウム(SB)がUV損傷修復を遅延させることを見つけており、その原因としてUV損傷の際のヒストンアセチル化をUV損傷のマーカーとして修復酵素がリクルートされてくるがSBによりそれ以外の部位にアセチル化されてマーカーを紛れさせることが考えられ、同様に金属のヒストン修飾も修復酵素のリクルートを妨げている可能性があると大変興味深いコメントがありました。

2.の演題では第9回定例会で紹介があった新井&大鐘のマウスES細胞を用いたエピ変異原検出系の改良版として、小早川、阿部らの開発したEGFP-MBD-nlsのコンストラクト導入した試験系を用いたエピ変異原検出系の検討を行い、

10-6MでDNA脱メチル化剤5Aza-dC、10-7Mでヒストン脱アセチル化阻害剤TSAによるエピ変異と考えられる変化が観察されたもののLIF存在下/非存在下、暴露時間等の処理条件、カウントする蛍光ドットの強度や大きさなどの

エンドポイントなど試験系を確立するには検討課題がいくつかあることが報告されました。

しかし、試験系を検討してわずか1ヶ月足らずで5Aza-dC、TSA のエピ変異作用を検出できる可能性を示せたことは今後の展開に大いに期待を寄せられるものと感じられました。   

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