続澁声徹語 第31回 「俳句逍遥」

 私が俳句を初めてもう15年にもなっている。しかし、普通ならもうなっているであろう同人にはまだなっていない。私の俳歴はまず湯河原にある「春野」から始まった。

ここで1年間の黛 執先生の入門講座の後に「ちとせ句会」が新設され、現主宰の奥名春江先生と戸邊喜久雄先生から平日にご指導を受けた。ここではみんなが俳句の初心

者であり、俳句のイロハからおよそ5年間勉強した。

 

 しかし、ある団体に勤務することになり、土曜日に句会をやっていた天為小田原句会に転会した。ここでは、参加者の多くがすでに同人であり、そうでない人も他の句会

で同人である人もいて、初学者は私ともう一人だけであった。天為の主宰は有馬朗人先生で、元文部大臣・東大総長という物理学者である。有馬先生はもう90歳を迎えられ

て居るが、矍鑠として選句を行っておられる。先生の選句は厳選主義で、そのため私は5句選から2句選までの間を彷徨している。

 

 そのうちに天為句会の中の「火の会」にも参加して、もう2年近くになる。こちらは選者が異なっており、成績が思いがけず良くて、「期待の新人」扱いされていたのは少

し面映ゆかった。ここでの俳句も最後には「天為」に投句し、有馬主宰の選を受けるので、成績はやはりぱっとしない結果になっている。

 

 今年から、「現代俳句」にも参加し、コロナ禍の今は、ネット句会が続いている。そのため会員の方々にまだお会いしたことがない。ここでの選も思ったより厳しくて、

優秀句に採られたことはまだない。結局、私の俳句はまだまだ大したことはないのだろう。私は夏井いつきさんの「プレバト」はあまり好きではない。いつきさんの選が絶

対だからでからである。俳句の鑑賞は皆がそれぞれ三異なっていることが重要だと思う。たしかに彼女の俳句に対するセンスや知識は素晴らしいが、俳句はみんなからの鑑

賞も重要だと思っている。

 

 俳句のいい所は、頭と紙と鉛筆があれば誰でもできることだ。また、何歳になっても出来そうなことも結構なことである。また、作られた俳句が作者の個性を反映している

ことも面白いと思っている。北大の先生がAI俳句作成装置(一茶君)を作り、名だたる俳人と対決したが、勝負はとても微妙であったようだ。

      初紅葉工作室での俳句会    徹   (11/06/20 

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